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書評『心理学から考えるホモサピエンス』

はじめに

 

私が読んでいて面白かった本、タイトルにもある通り『心理学から考えるホモサピエンス』を読んで感じたこと、考えたことを書いてみようと思います。

 

書籍の詳細 

 

:アラン・S ・ミラー、サトシ・カナザワ

:伊藤 和子

出版社:パンローリング株式会社

値段:2000円+税

   1980円(kindle版)

 

読んだきっかけ

 

心理学にもともと興味があったこと。

 

進化という遺伝子レベルの心理や行動を知ることができると思ったこと。  

 

本の構成

 

序章

第1〜9章

 

大まかな構成は上のようになっています。

 

第1・2章は導入部、第3〜8章は問題に対する議論、第9章はあとがき、参考文献となっています。

 

特に第3章からは章ごとにテーマに沿った問とそれに対する答えを導き出すといった形式になるので章の中でもさらに細かく分かれてるといったイメージです。

 

これらのといは全てで28個あり、それらの問全てに対して進化心理学の観点から答えを導き出していきます。

 

なので詳細に自分が読みたい部分を選んで読むことができます。

 

今回はこの第3〜8章の中から私が特に面白いと思った内容を28の問の中からの3つご紹介したいと思います。

 

本の内容(厳選)

 

以下の3つの項目について少しだけまとめてみたいと思います。

・息子がいると離婚率が低くなるのはなぜか

・だめな父親は多いのに、だめな母親が少ないのはなぜか

・ビル・ゲイツやポール・マッカートニーと犯罪者に共通するものは何か

 

・息子がいると離婚率が低くなるのはなぜか

まず、「社会学と統計学の調査で、息子がいる家庭では離婚率が低くなることが分かっている」という知識を前提にこれはなぜなのかということを進化心理学の観点から答えを導いていきます。 

 

皆さんならどう考えるでしょうか。

 

私は、現代では結婚したほとんどの夫婦は夫の方の苗字を継ぐということから、息子に対して積極的に育児参加することで自分の名を後世に残せる確率を高くしたいという本能的なものが働いているものというくらいに考えていました。

 

このような考え方は実は進化心理学の考え方からかけ離れていることではなく、かなり的を射ている考えでした。

 

しかし、この問に対する根拠を娘がいる場合の家庭についても詳しく本書では述べられています。

 

娘の場合は、将来的な配偶相手にとっての価値は富や財産ではなく若さと肉体的な魅力で決まるため、そのために親がしてやれることは少ない、よって特に父親の場合は育児参加する価値が息子の場合より低くなってしまうことが離婚率の高さの原因と考えられているんだとか。

 

逆に息子の場合は将来的には権力や財産によって配偶相手にとっての価値が高まるため、父親が蓄えた財産を息子に継がせることで自分の遺伝子を広げられるため、積極的に育児に参加するらしいです。

 

これは進化の過程で、男性はより権力や財産を作り出す方に、女性は子を産み育てるために肉体的な魅力を重視する方向に遺伝子の淘汰が進んだ結果であることによる進化の過程も深く関わっています。

 

・だめな父親は多いのにだめな母親が少ないのはなぜか

 

この問の中で面白い言葉が出てきます。

 

「ママのベイビーはパパにとってはメイビー」

 

どういうことかというと子供の母親は確実に判定ができるけど、父親は確かめることができないということです。これを父性の不確実性と言います。

 

母親は自分の体内で子供が育つため、確実にその子は母親の遺伝子をもっており、積極的にその子供に時間や財産を費やしますが、父親の遺伝子は見た目だけでは判断できないため、別の父親の子供である確率も否定できないのです。

 

よって父親は母親よりは1人の子供に労力をかけるよりは複数の女性と関係を持ち、なるべく多くの子供をつくる傾向があるのです。

 

このような男女の違いも進化心理学的にはそれぞれの繁殖の戦略として淘汰された結果であると論じています。

 

以上のことから父親は離婚した後、法定の命令にも関わらず、子供への教育費の支払いを怠ったり、教育義務を怠ったりする傾向にあると結論づけています。

 

・ビル・ゲイツやポール・マッカートニーと犯罪者に共通するものは何か

 

これは世の中の成功者と犯罪者も進化心理学から見ればその行動の根源にあるものは本質的には同じであるという興味深い答えを出しています。

 

結論から記述すると、犯罪も才能の発揮も、ライバルに勝とうとする欲求の現れということです。

 

方法は大きく違えど、この点において成功者も犯罪者も同じことをしているというのです。

 

さらに突き詰めるとこのような行動の根源にあるのは全て女性に認めてもらいたいがための行動だと述べています。 

 

ビル・ゲイツをはじめとしたコンピュータの開発者や研究者、ポール・マッカートニーのような音楽家や画家のような芸術家がソフトウェアを開発したり研究に没頭したり作曲したり絵を描いたりするのは全てが女性のためだというのだから驚きです。

 

このような極端な言い方では女性はなんのために創作活動をしているのだろうかと疑問になってしまうところではありますが、これも進化心理学の観点から導き出された一意見として受け入れることで新たな視点で人生を生きていくことができると思いました。

 

もちろんこれは傾向として男性に多くみられるというだけで女性の中にも世に秀でた才能を発揮することもあれば犯罪を起こすこともあるということです。

 

最後に

 

上に示した3の問はどれもとても興味深い内容でしたが、これらは本書の本の一部のコンテンツにしか過ぎません。

 

これを読めば普段意識していない些細な行動も、人の進化の過程で最適されたものなのかと考えるようになったり、あなたが疑問に思う人の行動に有益な答えを与えてくれるかもしれません。

 

なぜという好奇心だけでも読み進められる構成になっているので、気になる方は是非読んでみてください。